headimage pc

anect株式会社

代表取締役社長 木村 一郎

福岡から目指すアジア市場。法人モバイルアプリの開発・運営をワンストップで支援する起業家

リーズナブルかつハイクオリティな自社アプリを作ることができ、そのアプリで得た数値をもとにマーケティングや業務効率化を簡単に行うことが可能。そんなアプリ運営のプラットフォーム「Appabrik(アパブリック)」を提供しているのは、anect(アネクト)株式会社です。代表取締役社長の木村 一郎さんは、起業や新規事業立ち上げの経験が豊富な起業家。木村さんが起業を通じて実現したいことや起業の魅力などについて、お話を伺いました。

image 2

一個人、一企業として世界にくさびを打ちたい。アジア進出を試みて再起業

 木村さんがanect株式会社を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

木村 私はanectを立ち上げる前に、東京で一度起業しています。大学院のシステム情報科学府を卒業後、広告代理店に就職して広告出稿や広告配信の企画、自社サービスの開発などに携わっていたのですが、1年たたずに退職して起業しました。最初に立ち上げた会社では、企業が広告配信するためのシステムを広告代理店と共同開発したり、サブカル系のCtoC事業を行ったりしていました。この会社はそれなりに軌道に乗っていたのですが、私自身は国内ではなく海外、特にアジアに向けた事業を行いたいという思いをずっと持っていました。そこで、その会社を一緒に立ち上げたメンバーに譲り、新しく福岡でanectを立ち上げたんです。

image 3

 「海外、特にアジア市場に打って出たかった」とのことですが、そう思うようになったきっかけは何ですか?

木村 大学時代に、カンボジアに行ったことです。カンボジアの人たちの目は生き生きしていて、日本の方が生活の質は高いはずなのに、幸福度はカンボジアの方が高いように見えました。ビジネスにおいても、まだ発展途上の東南アジアはこれから更に伸びていくと思いますが、日本市場は縮小していくのが目に見えています。また現在、ビジネスにおける日本の存在感は世界的に見るとかなり薄れています。そんな日本の現状に、「先人が築いてきたものを無くしてはいけない」と使命感を感じて、自分の人生を費やしたいと考えるようになったんです。だから、当社で最初に取り組んだ事業も東南アジア向けでしたし、現在の事業である「Appabrik」も、今は国内向けサービスですが海外展開を見据えて準備をしています。

 anectで最初にスタートした事業について教えてください。

木村 当社で最初に始めた事業は、インドネシア向けの個人決済サービス「Tokopay(トコペイ)」とeコマース事業「Toko-Toko(トコトコ)」でした。過去の例を見ても、インターネットが普及し始めると、eコマースの分野が盛り上がり、決済の課題が出てくる。インドネシアでも同様のことが起こるのではないかと考え、その領域を攻めることにしました。「Tokopay」は、最大約50万人までユーザーが増えたのですが、インドネシアの総人口2億6千万人からすると規模が小さく、その規模ではマネタイズするのが難しかったですね。「Toko-Toko」もニーズはあったのですが、インドネシアにはクレジットカードが浸透していなかったため、月額課金制度が導入しづらく、使用料の回収が難しかった。これらの理由から、3年ほどで撤退することになりました。その後、新たに開発したのが「Appabrik」です。

image 7

法人の悩みや要望に応えたアプリ運用のプラットフォームを開発

 「Appabrik」について教えていただけますか?

木村 アプリの制作からマーケティングや業務効率化まで、簡単にワンストップで行うことができる、法人向けのアプリ運営プラットフォームです。ノーコードでアプリを開発できるサービスは増えていますが、その多くはスモールビジネス向け。一方で「Appabrik」は、法人向けのアプリ制作に特化したサービスです。管理画面や機能をわかりやすく開発し、アプリで提供できる機能をより柔軟にしているので、ITリテラシーが高くなくても使いこなせます。また、電話やチャット、オンラインなどでのサポートも充実させて、担当者の方としっかり併走しています。もう一つ大きな特徴は、社内業務用のアプリも作れること。社内業務用のアプリを作っている企業は日本にはほとんどないこともあり、需要が増えてきています。日本には、これまで業務にアプリを使う文化がありませんでしたが、社員のI Tリテラシーが向上したことやDX化の波が来ていること、そしてコロナの影響でリモートワークが進んだことなどにより、社内業務用アプリの需要は伸びています。こちらにも力を入れていきたいですね。

image 4

 「Appabrik」に対する反響や開発でこだわっている部分があれば教えてください。

木村 「数値を見ても分析方法がわからない」といった声が多いので、ダッシュボードでどのデータを見ればいいか、どんな傾向にあるのかまで簡単にわかるようにしている点が喜ばれています。こだわっているのは、アプリの品質です。アプリを使うエンドユーザーのユーザー体験をより良いものにすることに関しては、お客様以上にこだわっています。力を入れているポイントは、立ち上げたアプリが落ちる「クラッシュ率」を下げることと、アプリ内の遷移速度を速めること、そしてデザイントーンの統一感ですね。中でも、表示速度に関しては、通信速度が速くないASEANに進出することも考えて力を入れている部分。競合のアプリと並べて表示させたら「明らかに弊社の方が速い」と自信を持って言えます。

 今後はどのような事業展開を考えていますか?

木村 アプリは今、世界中の人が一番身近に最も長い時間持っているもの。それをハブとして、より良いメリットや体験を提供できるのではないかと考えています。今後は、アプリ単体だけでなく、さまざまなIoTデバイスと連携して、新しい体験を提供したいですね。現在、海外の「スキャン&ゴー」のように、レジで会計をしなくても会計が完了できるシステムを、アプリを使って提供できるように研究開発を進めています。これが完成すれば、日本の労働人口の低下にも対応できるし、非接触で会計が済ませることができるので、コロナウィルス感染症対策の良い一手になるのではないかと思っています。もう一つは、やはり海外展開。今年は、日本企業がベトナム向けのアプリをリリースするのを開発からお手伝いをしました。今後は、そういった機会をもっと増やしていきたいですね。

image 5

起業は何よりも面白く、刺激的。新しいことにチャレンジし続ける日々

 木村さんが考える起業の魅力を教えてください。

木村 私にとって起業は、事業のことを四六時中考えてしまうくらい面白いことです。自分たちのサービスが使われること、そして喜んでいただけるのがうれしいですね。もちろん、時には人が辞めてしまったり事業的にうまくいかなかったりして落ち込むこともありますが、自分たちのサービスやプロダクトが、お客様の事業の成長に寄与できるのは本当にうれしいことです。

 最後に、これから起業を考えている方に向けて、メッセージをお願いします。

木村 起業が「合う」「合わない」はあると思いますが、合うならば人生かけてのめり込める趣味になると思います。私も、今の会社がこのまま成長していったら、いつか売却するなり人に譲るなりするときが来るかもしれません。でも、そうなったらまた新しい事業を自分で起こしたいですね。いつまでも、プレイヤーでいたい。それぐらい自分で事業を進めるのは面白くてしょうがないです。ぜひ、チャレンジしてみてください。

image 8

Share

ライター / 神代 裕子