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株式会社Bulls

代表取締役 影山 哲也

スマートホテルからシェアリングホテルへ。スピード感のある発想の転換で、コロナ禍の荒波を泳ぎきる

2019年9月に設立した株式会社Bullsの事業は、ビルをリノベしてスマートホテルを運営する事業が主軸でした。そして2020年5月に待望の第1号ホテルが誕生しますがコロナ禍により雲行きは暗転します。しかし大手金融の営業のトップランナーだった代表の影山さんは好機を見出します。空いた客室をサロンとしてシェアリングすることにしたのです。評判を呼び、今や福岡県のレンタルサロンランキングで1位にランクインするまでになりました。ピンチをチャンスに変える極意を伺いました。

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ITを絡めたスマートホテルから出発し、シェアリングそしてD2Cまで

 中心となるホテルの事業について教えてください。

影山 福岡市中央区の親富孝通りの近くで『ORIGO』というスマートホテルを経営しています。ビルをリノベし、IOTの活用でサービスを省力化。白を基調としたシンプルなデザインのホテルです。もとはホテルを宿泊だけの場に終わらせず、地域経済に貢献できるサービスをすることも考えていました。ホテルは新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出る数日前の、2020年5月にオープンしました。

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 ホテルの客室を貸す、シェアリング事業が現在伸びているそうですね。

影山 とにかく船出はしましたが、5月は宿泊者ゼロ、6、7月の売上もそれぞれ2、3万円でした。潰れるかもという不安と、出資してくださった方、ジョインしているメンバーには迷惑はかけられないと思いました。眠れない夜もありましたね。しかし何かを待っているわけにはいきません。客室の別の使い方を考えました。最初に思いついたのはワーキングスペースとしての活用です。実際に検証をしてみると集客経路に難があることがわかり断念しました。そんな時、知人から美容室を借りているネイリストがいると聞き、これだと。そこから個室で行うビジネスにアタリをつけ、エステティシャン、鍼灸師などに利用してもらうことを考えたのです。登録者数は100人以上、リピート率は8割を越えていて、前月の倍以上の伸びを更新しています。利用者の方がInstagramでオシャレな空間として紹介してくれるのがありがたいですね。

 D2C事業にも着手されました。ほかの二つの事業との関連性は?

影山 オリジナルブランド『Whits』を立ち上げ、販売をスタートしています。ネット販売だけなら他と同じですし、体験してもらうのが一番ですから、将来は自社アイテムをホテルに取り入れていくつもりです。ゆくゆくはアメニティや家具など客室にあるさまざまなアイテムの販売も考えています。また反対にネットで購入し信頼を得ているアイテムが置いているホテルとなれば、その分価値は上がります。これらは永くお客様と接点を持ち続けるという意味でも有効で、当初考えていた“ホテルのメディア化”にもつながりそうです。あくまで現在は検証段階。これら3つの事業は相関していますが、どれかを軸にしながら展開していく予定です。

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ゴールへの最短距離を常に考え、似た環境で検証をあらかじめ繰り返す

 起業を考えたきっかけを教えてください。

影山 子どものときに先生に助けていただいた経験などから、教師を目指すつもりでした。しかし教育者には社会を知る必要があると考え、まずは一般企業の就職を考えました。新卒で野村證券に営業職として入社します。そしてベトナムで海外勤務した際に転機がやってきました明るい未来を信じて夢にあふれる現地の方たちに出会ったこと、自分のやりたいことを思うようにやっている経営者の方々に出会い、好きなところで自分のために働きたいと思うようになりました。

 そこから会社設立までどのように動きましたか。

影山 すぐに起業はせず、将来の独立を前提にベンチャー企業に入社しました。プランはあったけれど能力不足を感じていたのと、大企業ではなく小規模の仕事環境が自分に合っているかを検証したかったのです。私はいつも目的を果たすための最短距離を考えます。当時の僕にとっての最短距離は、すぐ会社を起こすことではなく、まずは似た環境に置いて自分がやれるかどうか検証し、結果的に失敗の少ない最短距離を選びとることでした。また人・モノ・金がない厳しい状況でどれだけやれるかを確認したかったこともあります。

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 これまでの経験で役立っていることがあればお教えください。

影山 野村證券時代には、お客様の課題解決のご提案をしていました。次の会社では何も商材がないところから、ビジネスを探すことをしていました。0から1を生み出す作業です。この経験から互いのリソースを確認した上で「何か新しいものを作ろう」という提案はできるほうだと思います。心がけでいうと、最初に圧倒的にペイする、コストかけるのがポリシーです。今も利益率は高く設定していません。今はたくさん利用して周知させる時期。回収はずっと先でいいのです。美容業界でいえばそもそも莫大な広告予算をもつ市場ですから、狙えるところは大きいと構えています。

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未曾有の時代も地方であれば攻められる。目指すは2040年にアジアNO.1

 コロナ禍をくぐり抜けた訳ですが、見えてきた教訓などがあれば教えてください。

影山 予定では北海道や名古屋、沖縄のホテルオープンも決まっていたのですが、コロナ禍のあおりをもろに受けました。振り返ると本当に、2020年の春ごろはきつかったです(笑)。しかし学びもありました。変化にどれだけ早く対応できるか、最速で動かすことの大切さを改めて知ったからです。また東京などに比べて福岡は家賃などの固定費が安くすみます。これはこんな状況でも攻めることができたこと、生き残ることができた理由の一つといえます。今後も何かないとも限りませんから大事なことですね。

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 今後の抱負をお聞かせいただけますか。

影山 まずは数年以内に全国展開をし、そのあとは海外進出をしたいと思います。2028年には上場し、2040年にはアジアでナンバーワンのホテルグループに成長させたいです。もともと学校教育を目指したように、人の成長にコミットしたいという気持ちはあるので、教育に関わるような仕事も広げていきたいです。

 最後にメッセージをお願いします。

影山 LINEなどが普及しているお陰か特に若い経営者の方ほど、リアルなコミュニケーションを重視していないように思います。それも一つの手段ですが、私自身が営業でたくさんの人と会ってきたので、会って話すことを大切にされていない方が多いなと感じます。おすすめしたいのは50、60代の経営者に会いにいくことです。話を聞かせてくれるし、彼らは応援したいという気持ちをもっていて、困ったときに手を差し伸べてくれます。多くの経営者に会う機会を積極的に作ってみてください。

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ライター / 山本 陽子