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株式会社CAVIN

取締役CFO 中村 亮太郎

大企業からスタートアップのCFOへ。彼の感じる本質的な「楽しさ」とは?

スタートアップ企業で働く方々にスポットをあて、キャリア観について話を伺う新企画。第一弾の今回は、株式会社CAVINのCFO中村 亮太郎さんに登場いただきます。株式会社CAVINは生産者と花屋の直接取引を可能にするプラットフォームサービスを柱に、花を通じたより良いコミュニケーションを提案する注目の企業です。

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大手航空会社の本社勤務などを経て、福岡のスタートアップ企業へ転身

 現在の仕事内容を教えてください。

中村 3人いる共同創業者の一人で、私は取締役CFOを務めています。資金調達や会計、ファイナンスを中心に、経営企画、人事、法務などコーポレート領域全般に携わっています。CEOの小松がブランディングやマーケティングを主とした全体の意思決定、COOである犬塚がセールスとオペレーションを担当しています。CXOとはリーダーシップであり、その下位概念として財務やマーケティングといった各々の役割が存在するという共通認識のもと、3人でバランスをとりながら日々業務を進めています。

 スタートアップ企業にCFOがいるのは珍しいそうですが、どんな良い効果がありますか。

中村 確かに日本のスタートアップで初期からCFOがいるのは珍しいケースですが、私たちはこれが正解だと思っています。なぜならCEOが全力で攻めに集中できるからです。創業期のCFOはファイナンスだけでなく、コーポレート業務全般を任せられることが多いのですが、もしその業務を全てCEOが担う場合、攻めと守りを同じ頭で考えざるを得ない状況が必ず生まれます。その守りの視点が少しでも頭にある状態で、思い切りアクセルを踏むのは実はかなり難しい。ファイナンスも法務も人事も経験がある私であれば『後ろはまかせておけ』といえるため、CEOが攻めの動きに集中できるのです。スタートアップは何よりも攻めの姿勢とスピードが大事ですから。

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 これまでのキャリアパスとお二人との出会いまでの経緯を教えてください。

中村 京都大学の法学部で学んだ後、全日本空輸(ANA)へ入社しました。ここでは経理や会計から経営企画、広報、社員教育などコーポレート業務全般に携わりました。転職を考えたのは最初の札幌支社勤務から羽田勤務となってからです。東京は刺激のある素晴らしい街ですが、長い通勤時間などにストレスを感じるようになりました。ノイズを感じずに事業に集中し、自分に向き合える場所はないかと探したところ、スタートアップに力を入れる福岡市が浮かびました。そして経営コンサルタントのスタートアップ企業が九州支社を立ち上げると聞き、福岡に移住・転職。その会社でのちに後輩として入社してきたのが小松と犬塚です。

 CAVINへの参画を決めたときのことを教えてください。

中村 二人から起業の話を聞いたとき、ほぼ即決しました(笑)。 CAVIN が目指すのは、単純に花が適切に売り買いされる世界を作ることではありません。花を介してコミュニケーションを生み出し、世界の幸福度をあげることです。そんな話を聞いたとき、二人と起業すれば、確実に世界がよくなり、前に進むことが予感できました。

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CAVINが考える“リーダーシップ”と、中村さんが重要視する“楽しさ”のマッチング

 決断にはほかに具体的な理由があったそうですね。

中村 はい。一番は“リーダーシップ”の考え方に共感したからです。会社のメンバーとなった以上は全員がリーダーシップ、つまり“業務に対する責任とホワイトボードの前に立つ勇気”を持つべきという考えです。スタートアップにはビジョン・ミッションの実現に向けて、組織を牽引していく力が何より求められます。二人に声をかけられたとき、最重要視しているのがそのリーダーシップだということが伝わりました。私はCFOとしてファイナンスの役割をもっていますが、単に私のキャリアを買って声をかけたのではなく、リーダーの一人としての振る舞いを何よりも期待されている、と強く感じました。

 中村さんご自身は、判断の軸に“楽しさ”を置いていると伺いました。これについて教えてください。

中村 “楽しさ”というのは単にエンジョイできるという意味ではなく、自分の価値観や倫理観に合った行動ができているということ。そこから外れた行動をしているとき、私は強い後ろめたさを感じます。だからこそ、決断するときは自分にとって“楽しめることなのか”をしっかり考えています。また、決断自体を自分で行っているときも“楽しめる”状態です。人にやらされていると感じることに熱量を込めるのは難しい。自ら決めたことであれば覚悟と責任をもって本気で取り組めます。この“楽しめるかどうか”と“リーダーシップ”の話は実は近いのかもしれません。個にとっての“価値観・倫理観”とは、組織のとっての”ビジョン・ミッション”ですからね。

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自分の思想や武器を明確に、とにかく人に伝え続けること

 中村さんのように、未来を掴む出会いを得るためにはどうしたらよいでしょうか。

中村 人に言い続けること、発信していくことです。自分だけのアイデアや武器があっても黙っていては誰にもわかりません。自分は何に興味があって何をしたいのか。本質的に大事なことは何かを伝え続けることです。同時に「何が嫌いか」を伝えることも大事です。嫌いなことには意外にその人の本質が隠れていますから。それらを続けていけば『こいつおもしろいよ』といわれ始め、『あなたに合うような人がいる』といった紹介も増えます。よく、発信して「アイデアを盗まれる」と考える人がいますが、そうではない。「自分が考えつくものは過去に他の誰かが必ず考えついている。違いは、それを発信して行動に移したか否かのみである」というのが私の考え方です。

 新たに資金調達を果たされたばかりです。今後のビジョンは?

中村 2020年秋に、ベンチャーキャピタル以外に、ラクスルを創業から一部上場まで導いた元副社長の守屋 実さんや、スタートアップ企業を専門とされている弁護士の方など、多領域のエンジェル投資家の方々に協力をいただけることになりました。私たちの姿勢や考えに共感していただけたことがうれしいし、何よりこれから同じチームとして彼らの知見や経験をいただきながら、より成長することができることを楽しみにしています。スタートアップの荒波を幾度も乗り越えてきた猛者たちが仲間に加わってくれたことで、私もようやく攻めのCFOに転じていけます。これからの旅路が、本当に楽しみでワクワクしています。

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 これから挑戦する人にメッセージをお願いします。

中村 私は決してファイナンスをやりたくてスタートアップの世界に入った訳ではありません。事業を成長させて、世界をよくしていく、これこそが私のやりたいことです。そのための手段がたまたまファイナンスだったというだけ。手段を目的化せずに、本当にやりたいことは何なのか、ということを忘れずにいてほしいなと思います。

 中村さんのように、大企業からスタートアップへ転身を考えている方にも一言お願いします。

中村 その人が何を求めるか次第としか言えません。大きな資本力で自分一人では到底できないプロジェクトを動かせる可能性があるのが、大企業の魅力です。一方、意思決定のスピードが早く、自分が納得した上で決断しやすいのがスタートアップ。創業初期はお客さんとの距離が近く、声が聞けるなど手触り感もあります。そして、将来成長すれば大企業のような大規模なプロジェクトを動かせるようにもなります。この初期の経験と成長した先の経験の両方を味わえる可能性があるのが、スタートアップの面白さではないでしょうか。これにワクワクできる人はスタートアップに向いているかもしれません。しかし、どちらが楽しめるのかはあなた次第。自ら決断してその道を選ぶなら、それがあなたにとっての正解だと私は思います。

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ライター / 山本 陽子