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INTERVIEW

国内No.1! アマチュアスポーツ特化のwebメディアが挑むのはスポーツ界の意識改革だった

株式会社グリーンカード
代表取締役 羽生 博樹

    現在、日本のアマチュアスポーツ界には少子化に伴うチームの経営難など、様々な課題が山積しています。しかしその一方で、米国の大学スポーツ市場はメジャーリーグ並とも言われており、アマチュアスポーツ市場が大きなポテンシャルを秘めているのも事実です。そんなアマチュアスポーツの課題に可能性を見出し、収益構造の改善や価値観の変革に取り組んでいるのが株式会社グリーンカードです。この事業を始めたきっかけや、そこにかける想い、今後の展望について、同社の代表取締役である羽生 博樹さんにお話を伺いました。

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    等身大の保護者が感じたアマチュアスポーツの課題

     事業内容について教えていただけますか。

    羽生 弊社は、アマチュアサッカーのメディア「ジュニアサッカーNEWS」「全国少年サッカー応援団」の運営をメインに活動しております。2019年には月間1200万PVを達成し、現在は100万人以上ものユーザーさんにご利用いただけるようになりました。基本的には保護者・ファン向けのメディアとして、土日の結果速報と子ども達の進路情報を中心に展開しています。また、日本全国のアマチュアチームやサッカー協会が運営するHPを始めとした、合計40件を超えるスポーツサイトのコンサルティングに携わっています。

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     アマチュアスポーツメディアを立ち上げた背景について教えてください。

    羽生 私も元々は子どもを応援する熱心な保護者の1人で、試合結果などの情報が表に出るのが遅いことに、非常に不便さを感じていました。そこでまずは福岡で速報サイトを立ち上げた所、すぐに10万アクセスを達成しました。次にテストマーケティングを行った沖縄でもアクセス数で地域No.1を獲得し、事業として拡げるニーズがあると確信しました。そこから全国に展開し、地域ごと・カテゴリーごとに細かく分類してLINEの速報グループを作成すると、思った以上の反響があり事業が加速していきました。

     貴社の運営するメディアの強みについて教えていただけますか。

    羽生 従来のアマチュアスポーツの情報流通における課題である、即時性がないこと・地域性が弱いこと・情報を共有する仕組みがないことの3点を重視した運営です。即時性については結果を必ず当日に掲載すること、地域性に関しては全国3万人のLINEグループ会員様からご提供いただいた情報を元に、どの地域も満遍なく網羅することを徹底しています。また、全国に約60名いる保護者ライターの方が熱心に現場に足を運んでくれて、各地域の情報をスムーズに吸い上げ各地域のwebページに即時反映してくれるという仕組みが作れたことも、我々の強みに繋がっていると思います。

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    将来のスポーツ界へ投資するという価値観を育てたい

     アマチュアスポーツ界は資金的な課題も大きいと思います。そういった点に関してはどのような考えをお持ちですか。

    羽生 チーム運営といっても結局は経営と同じなので、自チームの活動報告やアピールなど今の時代に合わせた広報活動ができているかが一番重要です。また部費以外の収入源を作ることも大切で、Jリーグと同じようなスポンサーの仕組みをアマチュアスポーツにも作りたいと考えています。例えば福岡だと、アビスパ福岡というJ2チームには1000社ものスポンサーが付いています。であれば、将来プロを目指す子ども達のチームにも10~20社スポンサーが付いても全然おかしくないですし、むしろ将来のスポーツ界への投資としてスポンサーの文化が定着すべきだと思います。そのために弊社としても、クラウドファンディング支援事業「グリーンカードサポーター」や、ライブ配信事業「グリーンカードLIVE」をスタートしています。

     まず「グリーンカードサポーター」の取り組みについて教えていただけますか。

    羽生 支援を希望するアマチュアスポーツチームにご登録いただき、ご支援いただける方にそのチームのHPなどに表示されるバナー広告を買っていただくという、シンプルかつスピーディなクラウドファンディングの試みとなります。新型コロナの影響で、ただでさえ資金的な課題を抱えているチーム運営の現場は大打撃を受けており、急遽リリースを前倒しして2020年4月にスタート致しました。現在、サッカーに限らず130チーム以上からのご依頼がございまして、なるべくチームに負担がかからない形で弊社が営業からバナー制作まで一通りを代行させていただいております。また、登録いただいたチームには個別に週1回のZoomミーティングを、フィードバックや質疑応答の場として設けています。

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     続いて「グリーンカードLIVE」の取り組みについて教えていただけますか。

    羽生 アマチュアスポーツの試合をライブ配信・ダイジェスト配信するサイトとして、2019年からテスト的にスタート致しました。その動画内にCM枠を設けることで応援してくれるスポンサーを集める媒体としても利用できますし、現場に行けない保護者やファンでも試合を見ることができて、選手自身が試合後に分析に使うこともできます。当初はコストや運営面で課題がありましたが、2020年に入ってイスラエルのベンチャー企業が開発したAIカメラを使うことで、この課題をクリアすることができました。人件費もかからず、自動でプレイを追いかけて撮影してくれて、広告まで出してくれるんですね。こういったAIカメラを使った取り組みを、まずは地場の福岡大学や福岡サッカー協会と共に進めています。

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    目指すのはアマチュアスポーツの「意識改革」

     米国の大学スポーツ市場は非常に大きいと言われていますが、日本と海外のアマチュアスポーツ市場にはどういった違いがあるのでしょうか。

    羽生 全然違うと言っても過言ではないです。例えば、国内のJリーグでも一番営利を上げている所で100億円くらいなんですが、海外だと一つの大学で200億くらい売り上げているケースがあるんです。そうすると当然、優秀な指導者達が集まってきますよね。彼ら自身も自分のやっていることの価値を理解していて、それに対する正当な対価として年収1億円以上を貰っている指導者も多く存在します。収益構造も日本とは違い、放映権やスポンサーフィー、グッズ販売と言った部費以外の収益が大半を占めています。またOBや地元企業たちがチームを支えるのが、極当たり前という文化があります。後は、日本は指導者がチーム運営の全てを担うケースが多いですが、海外の場合はアマチュアであっても、指導者とは別にマネジメントのプロが入っていることが多いですね。日本ではまだ、その辺りの価値観や仕組みができていないと考えています。

     日本においてもアマチュアスポーツにおける価値意識の向上が必要なんですね。課題解決に対し、貴社としてはどのように取り組んでいこうと考えていますか。

    羽生 特に一番重要なのが文化を醸成することです。我々の使命は、アマチュアスポーツにおける2つの意識を変革していくことだと考えています。まずは指導者の皆様に、自分達のやっていることが物凄く価値のあることだと自覚していただきたい。そのために我々が部費以外の収入源を確保する仕組みを作り、子ども達の教育環境や、指導者達の労働環境といった全ての価値を向上していきたいです。それと同時に、地元の企業や団体がプロだけではなく、子ども達を応援することが当然だという意識を持ってもらいたい。そのためには、選手もチームも日々の活動報告やファンサービスを強化していく必要があります。そういった意識を改革することが、日本のスポーツ界の未来に繋がると考えているので、まずはメディアやサービスと言ったプラットフォーム作りを進めています。

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     貴社の今後のビジョンについて教えていただけますか。

    羽生 アマチュアスポーツ界の「情報の流通性の問題を解決すること」と「現場の資金不足を解消すること」という2点です。最終的には、チームの広報・営業・経理といった全ての活動がワンパッケージでできるような、全国のあらゆるチームに提供できるようなサービスモデルを作りたいと考えています。アマチュアスポーツ業界を変えていくことは容易ではないので、まずは小さな課題であっても一つ一つの解決を積み重ねて、企業やチーム関係者から理解を得ながら、どんなアマチュアチームであっても関係なく支援を受けられるような世界観を創っていきたいですね。

     今後、起業したいと思っている方に一言メッセージをお願いします。

    羽生 スピード感を重要視することが大切だと思います。丁寧さや準備も大切ですが、それ以上に時代の変化が速いので、少し遅れるだけでトレンドを逃してしまい、上手くいかないことがビジネスでは多々あります。本当に何か「これ」と思うことがあれば、飛び出していく勇気というか無鉄砲さみたいなものが成功に繋がるポイントになるのかなと考えています。もちろんその中で、現状の問題を分析しアップデートを重ねていくことも、立ち上がりのスピードを上げることに繋がると思います。

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    Avatar kishi4

    ライター

    岸垣 光祐

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