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株式会社HAB&Co.

代表取締役 森 祐太

#地方課題の解決へ挑む起業家

いまの地方課題は、未来の日本の課題。採用活動のインフラストラクチャーを目指す起業家

人材不足が問題となっている昨今。特に、地方の人手不足は深刻です。そんな地方の採用事情を鑑み、オリジナルの採用サイトを簡単に作れるSaaS「SHIRAHA(シラハ)」を開発したのは、大分県大分市にある株式会社HAB&Co.です。代表取締役である森祐太さんは、「故郷・大分の抱える課題を解決したい」との熱い使命感を抱いて、2017年に起業しました。森さんが起業したきっかけや目指す社会の姿についてお話を伺いました。

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25歳で感じた「地元をどうにしかしたい」という使命感が起業のきっかけ

 まず、森さんが起業を考えたきっかけ教えていただけますか?

 寂れていく故郷を見て、「どうにかしないと」と思ったことがきっかけです。僕の故郷は、大分県竹田市。大学進学で福岡に出てきて、卒業後は人材紹介を始めとした採用に関わる仕事に就いていました。しかし、25歳の時に父の体調が悪くなり、大分に帰ることになったんです。でも、いざUターン就職をしようと思っても、なかなか仕事が見つからなくて。大分にもいい企業はたくさんあるのですが、求人情報にうまくたどり着けなかったんです。また、故郷の町はどんどんシャッター街になっていく…。そんな状況に漠然とした危機感を感じて、「なんとかしなければ」という強い使命感が湧き上がってきたんです。それが、起業へつながる原体験ですね。

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 大分に戻ってから起業するまでの経緯を教えてください。

 大分に戻ってすぐは、人材や採用の分野で働いてきた経験を生かして、一般財団法人で私立高校の生徒たちに進路支援を行う仕事をしていました。そこで分かったのが、大分では毎年約1万人の高校生が卒業するのですが、そのうち50%近くが県外への進学や就職で流出して、卒業後は約20%程度しか戻ってこない。ただ人を排出するだけになってしまっていたんです。大分はとても魅力的だし、素晴らしい企業も多い。ただ“うまく情報の発信ができていない”ということが課題だと感じました。それからは、独学でプログラミングやデザインの勉強を開始。ITスタートアップ企業の取締役を経て、ずっと携わってきたHRの分野で地方課題の解決に取り組みたいと考え、2017年に起業しました。

 どのようなビジョンを掲げて、会社を立ち上げたのですか?

 弊社のビジョンは「地方ならではのアイデアで社会課題を解決する」。いま地方が抱えている課題は、将来の日本の課題だと思っています。都会も近い将来、いまの地方と同じような状況になっていくはず。だから、地方から日本を元気にしていきたいと思ったんです。弊社で働いているスタッフは出身や勤務地は様々ですが、それぞれ同様の使命感を感じている人ばかり。このビジョンに共感して集まってきてくれているのを感じています。

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低コストでオリジナルの採用サイトを構築。地方の採用課題を解決する「SHIRAHA」

 御社の主力サービス「SHIRAHA」について教えてください。

 誰でも簡単に、自社オリジナルの本格的な採用サイトを作ることができるサービスです。弊社独自のAI・アルゴリズムのエンジンが、業種や社風などから魅力のある文章やデザインを提案。事業内容に合わせたオリジナルの採用サイトを、ノーコードかつ低コストで構築可能です。本来、企業や地域によって採用のブランディングは違うし、求職者が知りたい情報も違います。しかし、いまほとんどの採用サービスはワンパッケージで、その細かいニュアンスに対応できないものが多い。かといって、地方でオリジナルの採用サイトを用意できる中小企業はほとんどありません。そのギャップを埋めるために、このサービスは生まれました。現在は、全国で350社以上の企業が導入してくださっていて、手応えを感じています。

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 機能を拡張させた「SHIRAHA WORK」についても教えていただけますか。

 日本で初めてハローワークのデータベースとAPI連携(情報連携)を可能にしたサービスで、ハローワークの登録番号を打ち込むだけで、求人票の情報を元に採用サイトが構築できます。既存のサービスでもかなり簡単に作成することができたのですが、時間やリソースが不足している中小企業にとっては、それでもまだ負担に感じる方もいて。究極的な話しですが、「入力すらさせない方法はないだろうか?」と考え抜いた末に、革新的なサービスを作ることができました。ただし、採用サイトも作るだけで結果が出るわけではありません。そのため、僕たちはサイトを作って終わりではなく、広告運用や撮影サポートなどの伴走支援に力を入れています。特に制作されたサイトからどれくらいの人が応募してくれるかを重要指標と捉えていて、これまで100を超えるマッチング機会を創出することができています。今後もテクノロジーを活用して地方企業の魅力を引き出していきたいですね。

 dot.」についても教えていただけますか。

 はい。「dot.」は、大分県の行政と協賛企業からの支援で運営しているコミュニティスペースです。大分の企業のことを知ってもらい、大分で働きたい若者を増やすことを目的にしています。また、施設自体にテクノロジーが散りばめられている点が特徴で、無料会員登録で顧客管理し、会員限定の仕事探しの情報端末を配置したり、来店・相談履歴から最適な企業を紹介するシステムなどを展開しています。採用は長期的なものなので、ロングテールで追いかけることが大切。「dot.」は、地方が抱える人材の問題を解決する手段であるとともに、一度県外に出た若者たちがいざ「大分に帰りたい」と思ったときに、相談に乗ってあげられる場所でありたいと考えています。

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地方ならではのアイデアがあれば、地方からの起業がベスト

 森さんが感じている起業の魅力はどのようなものですか?

 起業は「自己表現の一つの手段」だと思っています。僕自身は、故郷に感じた危機感を自分で解決したいと思ったし、それが“生きている意味”だとも感じた。その使命感を形にしていくビジネスを行っていることを、とても魅力に感じています。とはいえ、起業の際には、もちろん不安もありました。しかも、僕の場合、起業の数日前に妻の妊娠が判明して。一瞬「本当に起業して大丈夫か?」とも思いましたが、逆に夫婦で腹を括るきっかけにもなりました。最終的には、「やりたい」という気持ちの方が強かったですね。

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 地方で起業することの意義をどのように感じていますか?

 地方でしか出てこないアイデアや地方ならではの資源を使ったビジネスをするなら、地方で起業する意義があるのではないでしょうか。僕らのビジネスは、きっと東京の同業他社では考えつかないこと。地方にいるからこそ感じる課題から生まれたアイデアなんです。また、地方は首都圏に比べると土地や人材のコストが断然低い。そういったことを生かすなら、地方で起業するのがいいのではないでしょうか。

 今後、新型コロナウィルスの感染拡大によって、地方に帰ってきたい人が増えてくると思います。そういった方々に向けてメッセージをお願いします。

 「地方って面白いよ!」と言いたいですね。地方は本当にたくさんの課題を抱えています。東京などで最新の技術やノウハウに触れてきた人たちなら、さまざまな解決策を出せるはず。地方ではそういった人材が本当に求められているから、やりがい持って働けるし、救世主になりえます。さらに大分や福岡は、全国的に見て生活コストが低いのも良いところ。どこで暮らしていても東京や都会とつながれる時代になった今だからこそ、地元に戻ることも考えてみていただきたいですね。

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ライター / 神代 裕子