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株式会社KabuK Style

代表取締役 大瀬良 亮

誰もが自由に働ける社会を創る。定額住み放題を実現した起業家が語る「#テレワを止めるな」とは

仕事をしながら、好きな時に好きな場所で暮らす。そんな生活を実現できるサービス「HafH(ハフ)」が長崎で誕生しました。その事業を立ち上げたのは、株式会社 KabuK Style(カブクスタイル)。代表取締役の大瀬良 亮(おおせら りょう)さんに、「HafH」が生まれた経緯や目指す姿についてお話を伺いました。

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目指したのは、誰もが自由に暮らせる社会

 御社のサービスについて教えてください。

大瀬良 「HafH」は、世界中にある宿泊施設が住み放題になるサービスです。2019年4月にサービスを開始し、「HafH」独自の宿泊施設と提携先を合わせて、現在利用可能な施設は世界中に300ヵ所以上。すでに全都道府県とASEAN(東南アジア諸国連合)各国には、1カ所以上の施設がある状態です。「コリビング(住む場所をシェアしながら働く)」のためのサービスですから、提携先にはwi-fi完備で仕事をできるスペースがあること、女性でも安心して泊まれる安全性と清潔感があることが絶対条件です。利用者が、いちいちレビューをチェックしなくても安心して泊まれる“ハフ・クオリティー”を大事にしています。プランも一人ひとりの暮らしに合わせて、1カ月に2泊できるものからアドレスホッパー向けの1カ月泊まり放題のものまで、4つのプランから選ぶことが可能です。

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 「コリビング」に着目したのはなぜですか?

大瀬良 僕自身が前職で、世界中を飛び回って仕事をしていた経験が大きいです。その中で、多様な文化や価値観に触れることが自分の成長につながることと、世界中どこにいても携帯とパソコンがあれば仕事ができることを実感しました。そこに、共同代表である砂田の「みんな、もっと自由に生きてもいいじゃないか」という想いが重なったんです。自由に生きるための条件を考えていく中で、一番遅れているのが不動産の分野。そこから着手しようと話していた頃に、海外で「コリビング」というキーワードに出会い、僕らが考えていた概念は、世界にはすでにあることを知ったんです。

 「自由に生きる」の第一歩が住む場所だったのですね。

大瀬良 そうです。でも今の日本は、例えば海外の人が福岡に半年だけ住みたいというのはハードルが高い。半年だけ契約できる部屋が少ないし、敷金や礼金の概念が海外の人には通じません。だから、誰もが住みたいと思った場所に、希望の期間暮らせる場所をつくることにしたんです。当社には「多様な価値観を多様なまま許容する社会インフラをつくる」というミッションがあります。これは、女性や障がい者、外国人、LGBT、宗教など、さまざまなマイノリティーと言われる人たちがもっと活躍できる社会をつくるということ。誰もが好きな場所で暮らせる「HafH」は、そのための第一歩ですね。

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テレワーク×「HafH」がもたらす、新しい働き方

 「HafH」があることで、世の中はどのように変わると思いますか?

大瀬良 まず、個人の経験値を大きく上げられると考えています。今の若者は、70代よりも移動しないそうです。だからこそ、移動することで得られる成長は何よりも大きいですし、「HafH」がその一助になると思っています。新型コロナウイルスを機に大きくリモートワークが進んだことも大きいですね。今までのように、留学するために会社を辞めたり長期休業したりしなくても、台湾の「HafH」で1週間過ごすといった小さな経験を重ねていくことが可能になるのです。また、行政に対しては、「HafH」の拠点ができることで地方に新しい風を吹き込めると思っています。いい風土は、いい“風”と“土”がないとできません。僕らがスタート地点に選んだ長崎の出島には、昔からオランダや中国など世界からの風が届いていた。それが街を魅力的にしたのだと思っています。だから、「HafH」が送風機として各地方に風を送り込むことで、その土地が盛り上がっていくことを期待しています。

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 コロナを経験した今、伝えたいことはありますか?

大瀬良 「#テレワを止めるな」ですね。僕らは今、SNSでそうハッシュタグをつけて強く発信しています。コロナによってテレワークが急激に進みましたが、「テレワーク=在宅勤務」と語られる違和感も感じています。テレワークの本来の意味は、「好きな場所で働けること」のはず。今回のコロナをきっかけに「会社に出勤しなくてもいい」「東京で働くのはリスクが高い」と感じる人が少なからず出てきました。今の会社制度を含めて、どうすれば「自由に生きられる未来」に向かえるか、この1年は力を入れて発信していきたいと思っています。

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 特に、そんな社会へ出ていくこれからの若者にはどんなことが求められるでしょうか。

大瀬良 「自由に働ける環境を会社に求めていくトップリーダーになってほしい」と伝えたいです。これからの時代は、「これが正解」という未来はありません。自分がこれからどのように生きていきたいか、どのようなスタイルで働きたいか、自分で理想をデザインして会社に強く求めていく時代です。彼らは「会社の制度を変えなければ、優秀な人材は手に入らない」と会社に思わせることができる立場にいます。すごく勇気のいることだと思うけれど、彼らにしかできないことだとも思うので、ぜひ頑張ってほしいですね。

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100年後の社会を目指して。長崎発のビジネスが大きく成長

 今後の事業展開について教えてください。

大瀬良 今後は宿泊だけでなく、移動の面でも定額制を導入します。JR西日本と業務提携をして、福岡・広島間と広島・大阪間、大阪・和歌山間を、「HafH」会員なら定額で移動できるプランを作りました。9月から始動する予定です。また、「HafH」に宿泊するとマイルのように「コイン」が貯まるのですが、そのコインを使ってできるサービスの拡充も進めています。「HafH」の会員になったら、どこででも生きていける。いずれはそんなサービスにするのが目標ですね。僕たちが創ろうとしているのは、50年後、100年後の社会。今の「HafH」はそのほんの一部なので、今後の展開も楽しみにしていてください。

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 起業するにあたって必要なマインドは何でしょうか?

大瀬良 まず、ファイナンスや組織のマネジメント、契約などに関することをきっちり行う意識を持つことです。もし自分が苦手なら、そういったことが得意なパートナーを見つけましょう。僕も苦手ですが、砂田が金融出身で得意なので助かっています。また、起業すると自分のアイデアをチームで実現していくことになりますから、自分を手伝いたいと思ってもらわなければなりません。そのために必要なのは、口説く力や人たらし力。僕自身は、その力でなんとかやってきています(笑)

 起業したいと思っている人へのメッセージをお願いします。

大瀬良 やりたい事業がある方は「なぜ自分がやるのか」「実現するための手段に何があるのか」をしっかり考えてほしいですね。起業はあくまでも手段の一つです。それを「やりたい」と思った原体験が、必ず自分の中にあるはず。僕は、長崎に生まれて、父の実家がある五島列島で暮らした思い出や就職してからの経験など、自分の35年分の体験すべてを詰め込んで今の事業を進めています。また、今からのビジネス、特にアジアの玄関口である福岡で起業するからにはアジア展開は必須です。福岡でしか成り立たないビジネスでは先はありません。起業を考えている方は、そういったことをぜひ自分に深く問いかけてみてください。

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ライター / 神代 裕子