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INTERVIEW

「スマート南京錠」で命と財産は守れる。実証実験で見えた次世代の南京錠が持つ可能性とは

KEYes株式会社
代表取締役CEO 栗山 真也

    多くの人が一度は目にしたことがある「南京錠」。公共施設や工事現場などで多く使われていて、国内で推定5億個超はあると言われています。固定の番号で鍵を開けるシンプルな構造ですが「番号がわからなくなる」「番号を調べるのに手間がいる」といった不便な面も。KEYes(キーズ)株式会社の南京錠とスマホを組み合わせた「スマート南京錠」は、利便性や安全性の向上はもちろん、新たなビジネスチャンスにもなると考えられています。30代で起業し、南京錠というBtoBビジネスに目をつけた栗山さんに話を伺いました。

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    ただの南京錠ではなく、「命と財産を守る南京錠」

     主力事業である「スマート南京錠」について教えてください。

    栗山 南京錠をBluetoothでスマホと繋ぎ、開け閉めするサービスです。スマホによりGPS情報を取得できますから、いつ、誰が、どこで南京錠を開けたかがわかり、履歴として残せることが特色です。現在ある南京錠をスマート南京錠に取り替えるだけなので、設置工事は不要です。展開はBtoBで、主にサブスクリプションでの提供を予定しており、施錠を感知する南京錠も開発中で自転車や門扉用の製品も検討しています。鍵は施設や建物、ひいては財産や命を守ります。良いことではありませんが鍵にまつわる犯罪の多発という現状もあります。私たちは、特にこのような「命と財産を守る南京錠」を「スマート南京錠」にアップデートすることで、安全性を高めることに寄与したいと考えています。

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     着想はどこから得たのですか?

    栗山 不動産業界に在籍していた時に思いつきました。アパートやマンションなどを顧客に紹介する際、鍵のトラブルによく直面していました。例えば、番号式の場合は番号がわからなくなったり、そもそも鍵自体を紛失していたりするケースが多かったんです。私の経験では鍵のトラブルが起きるとそこで10〜15分ほど時間をとられていました。もっとも困るのが、そのせいで契約自体が成立しないことです。そこで、スマホに南京錠を開ける機能をもたせればスムーズなのではないかと思いました。

     実現できたポイントは何でしょうか。

    栗山 当社は福岡市のスタートアップ支援施設であるFukuoka Growth Nextに入居していますが、当時は同じ入居者、現在は当社の取締役である藤懸英昭さんに相談しました。私自身はIT技術に明るくなかったので、以前から気の知れた仲でありIT技術に精通していた藤懸さんに相談したんです。スタートアップ支援施設の入居者同士で事業が生まれ、起業につながったのは、福岡市では初のケースと聞いています。起業してからは、南京錠の筐体は既存製品を使い、中の基盤をオリジナルで製作することに的を絞りました。

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    実証実験を重ねて、企業や世間に必要とされるサービスへ進化

     「スマート南京錠」が世に出ることで、何が良くなりますか。

    栗山 まずは鍵の管理がシンプルになるということです。スマホのソフトで権限を管理すれば、複数の人間で扱えるようになるため、汎用性が広がります。また前述のようにいつ開けたのか、誰が開けたのかがわかる点から犯罪の抑止にも繋がります。さらにビジネスの活路も見いだせると思っています。例えば部屋を閲覧する回数は多いのに、契約に結びつかない賃貸物件があったとします。閲覧回数という確固としたデータを示しながら、リフォームや家賃の見直しなどの改善策をオーナー様へ提案ができるのです。スマート南京錠の履歴が価値あるデータになる訳です。

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     2020年11月のローンチに向け、現在実証実験中です。今、何に一番力を入れていますか。

    栗山 西部ガスさんやトヨタ自動車九州さん、あなぶきグループさんと実証実験をさせていただいています。実証実験では機能の確認は当然ですが、それぞれの業界・企業にあった仮説検証をおこない、使い方を探っています。蓄積されたデータは当社ならではの強みになり、他社からすれば参入障壁になっていくでしょう。また、スマート南京錠に豊富な機能をもたせることも可能なのですが、あえて行いません。シンプルにすることで起こりうるエラーを最小限にし、世の中に早く普及させることを念頭に置いています。スタートアップはスピードが命です。このビジネスモデルを安定した状態でいち早く世に出したいと考えています。

     栗山さんの起業前の経験が生かされていることと思いますが、それは何でしょうか。

    栗山 保険業界や不動産業界で働いていたころは、営業職として感性を大切にしていました。世の中のニーズをつかむこと。決して思い込みのままではいけません。これを出したら世の中で流行すると確信がもてるものを提供していくことです。実証実験を経て、思い描いていた理想とのギャップが出てきています。しかしそこを決してそのままにはしない。改善を重ねて必要とされるものを提供しなくてはと思っています。

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    経験をバネにできるからこそ、より飛躍できる30代での起業

     栗山さんは30代で起業をされました。メリットとデメリットを教えてください。

    栗山 デメリットは万が一、失敗したら家族を路頭に迷わせるかもということです。しかし起業したのは、より豊かな将来を思い描いてのことです。家族への説得と理解が必要になってきます。メリットは申し上げたように、経験が生かせることです。代理店業務に多く携わっていました。「スマート南京錠」は代理店に参入していただきながら展開をするつもりですから、かつて得たノウハウを活用してきたいですね。

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     今後の展開を教えてください。

    栗山 まずは不動産業界に浸透させ、インフラ業界などで広めていき、将来は全国展開をしていきたいです。さらにアジアに近いという福岡市の立地を活用してゆくゆくはスマホ普及率の高い、発展途上国にも展開したいです。特にアジアやアフリカなどの地域も視野にいれ、メイドインジャパンという価値でもって受けいれられていくことを夢みています。面白いビジネスになりそうです。会社としては家族に優しい、働きやすい会社を目指していきたいと考えています。

     最後にメッセージをお願いします。

    栗山 ビジネスをやっていると一人では解決できないことによく直面するものです。そんな時、Fukuoka Growth Nextもそうですが、知恵をいただけるような環境を活用してください。私はなかなか決めきれないことも誰かに背中を押してもらったり、勇気をもらったりすることでここまできました。そういった場を意識的にもっておくことも大事ではないでしょうか。

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    ライター

    山本 陽子

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