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INTERVIEW

不動産情報をカタログ化する。物件データを活用し、非対面で転居が完結する未来を目指す起業家

株式会社Live Search
代表取締役 福井 隆太郎

    賃貸の部屋探しにおいて、物件写真は最も重要なコンテンツ。その撮影を代行し、詳細な情報を集めてデータとして活用することで、管理会社、仲介会社、エンドユーザーまで不動産に関わるすべての人がWin-Winになる仕組みを展開しているのが、株式会社Live Searchです。代表取締役の福井隆太郎さんに、サービス内容や開発の経緯、今後のビジョンまでお話を伺いました。

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    3つのサービスで不動産会社のパフォーマンス向上をサポート

     はじめに、「物件写真撮影・間取り図作成代行サービス(以下、代行サービス)」について教えてください。

    福井 はい。不動産管理会社が物件をポータルサイトに掲載するには、写真や間取り図を自社で用意しなくてはなりませんが、それを代行するのがこのサービスです。管理会社がウェブ上から依頼事項を入力すると僕たちのカメラチームが撮影に行き、高品質の写真データをオンラインで納品。間取り図には洗濯機や冷蔵庫置き場のサイズ、カーテンの適正サイズ、コンセントの位置まで調べて明記します。これは単に面倒な作業を当社が代わりに行うのではなく、エンドユーザーの心をつかむきれいな写真、かゆいところに手が届く詳細な情報といった、管理会社がなかなか自社では用意できないデータを提供することで、オーナーの満足度向上や入居率アップをサポートするものです。

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     そのデータを活用されているのが「物件写真・間取り図ダウンロードサービス」ですね。

    福井 そうですね。これは、物件の写真や間取り図のデータを不動産仲介会社にダウンロード販売するマーケティング支援サービスです。プロのカメラマンに外注すると一般的には1物件あたり2~3万円くらいはかかりますが、写真だけにそこまでコストをかけるのは難しいですよね。そこで僕たちは代行サービスで用意した写真や間取り図の著作権を当社が所有することで、1物件あたり1000円以下という低価格で仲介会社に提供するビジネスモデルを構築しました。

     そのほかにはどのような事業を展開されているのでしょうか。

    福井 ひとつの管理会社に関して1物件ごと、エリアごと、間取りごとなどセグメント別で空室日数を可視化することで、傾向を分析できる「空室期間分析ツール」も提供しています。福岡市全体の賃貸物件の平均空室期間が5.6カ月くらいなのですが、当社の代行サービスに加盟している500物件ほどの空室期間を調べたところ、平均より40日ほど短いことがわかりました。これからの時代、全国的に賃貸物件の入居率が下がっていく中、管理会社にとっては一年のうちで家賃収入が発生する期間を少しでも増やすことが重要です。その課題を解決するために、代行サービスと併せてこのツールを活用していきます。

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    ポータルサイト苦戦からの事業転換で、全国展開への基盤を確立

     サービス開発の経緯をお聞かせください。

    福井 起業当初は不動産情報ポータルサイト運営がメインで、代行サービスはそのオプションという位置づけでした。しかし実際に営業してみると、ポータルサイトはかなり苦戦したのに対し、代行サービスは今までにないものということで評判は上々。それでポータルサイトは辞め、代行サービスを軸にピボットしたのです。そこから、社内オペレーションスキームの充実化にも注力しました。案件の進捗をリアルタイムで可視化できるシステムを開発したり、低コストでスピーディに撮影できる仕組みを整えたり。結果、ご依頼から納品まで2営業日で完結できるような体制を整えました。今後は全国展開を考えていますが、その基盤を築くことができたと考えています。

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     そのような流れを経て、御社のサービスはどんどん福岡に浸透していったのですね。

    福井 僕たちはIT企業ですが、営業は足で稼ぐことを大切にして地道にやってきました。現在の加盟店数は130社以上で、福岡市内の管理会社のうち10%ほどは当社のサービスを利用してくださっています。解約率も1%ほどと低く推移してきました。実は、ウィズコロナになってからの2カ月が今までで最も業績が伸びています。なぜなら、管理会社はリモート勤務によって自社撮影が難しくなり、エンドユーザーはできる限り非対面で情報を手に入れたいと感じているからです。写真やデータの重要性がますます強く認識されているようですね。おかげさまで福岡では「不動産物件データならリブ・サーチ」というくらい受け入れていただいていると感じています。次はこのビジネスモデルを東京、そして全国の都市に横展開していきたいと考えています。

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    不動産に関わるすべての人がWin-Winになる世界を目指して

     この事業で大切にしているのは、どのようなことですか。

    福井 僕たち自身が不動産業界に身を置くのではなく、外からの立ち位置で業界をサポートするという視点です。一昔前には「良い物件はなかなか表に出ない」などという話も聞きましたが、そういうことは利害関係のある業界内だから起こってしまうわけです。その点、僕たちの立場ならフラットに全ての情報をオープンにできる。そんな第三者機関のような存在として、管理会社、仲介会社、エンドユーザーそれぞれがWin-Winになる世界づくりを目指しています。

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     今後のビジョンを教えてください。

    福井 全国展開、データベースのさらなる充実化、さらにデータを活用した、家具ECや日用品ECとの連携にも取り組みたいです。物件データに集約された情報を生かして、その部屋の大きさに適した家具や雰囲気に合うカーテンなどを分析してECサイト上の商品をレコメンドし、入居する時には家具も家電も全てそろっている状態にできたら理想的だなと。そうしたことが実現したら、入居者の利便性はもちろん、管理会社の空室削減、仲介会社の業績向上にもつながりますよね。不動産に関わる全ての人にとって良いことを一つでも増やし、その積み重ねによって「リブ・サーチがいたから業界が10年早く進歩できた」と言われる会社にしたいです。

     これから起業する方にメッセージをいただけますか。

    福井 正直に言うと、起業した後のほうが辛いことは多いですし、メンタル面ではサラリーマンのほうがずっと楽でした。ただ、リブ・サーチという箱を作ったからこそ、今の僕には社員やお客様がいてくれて「おかげで入居数がこんなに増えたよ!」など嬉しい声をいただいたりもする。そうした出会いを思うと、やっぱり「起業はいいよ」と言いたいです。リスクを取ってでも経験して損はない選択肢ですし、僕自身、たとえこの先に何があったとしても、起業したことを決して後悔はしないと思います。

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    ライター

    北村 朱里

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