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INTERVIEW

20分で荷物が届く時代へ。福岡からユニコーン企業を目指すLOMAの「動く倉庫」とは

株式会社LOMA
取締役 小野 京子

    宅配便にUberEats。欲しいものが自宅まで届けられるのが当たり前の世の中になりました。一方で、各家庭までの最後の1マイルを配送する「ラストワンマイルドライバー」と呼ばれる人たちにかかる負荷は増え続けています。そんな物流の課題を解決すべく、「倉庫を動かす」という画期的なサービスを開発した会社があります。福岡市にある株式会社LOMA(ロマ)です。「LAST ONE MILE ASSIST(ラストワンマイルアシスト)」の頭文字を社名に掲げるこの会社がもたらす未来はどのようなものなのか。創業メンバーで取締役の小野京子さんに話を伺いました。

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    AIであらかじめ需要を予測した商品を積んで走る「動く仮想倉庫」

     御社のサービスについて教えてください。

    小野 AIで需要予測をした「動く仮想倉庫」です。私たちの“倉庫”は、AIによる需要予測をもとに商品を積み込んだ箱バン。半径3km圏内をその箱バンが巡回し、注文が入ったら顧客に一番近い車両が20分以内に届けるという配送プラットフォームです。現在は、まだ実験段階で、第2フェーズとして宅配スーパー「オレンジ」を運営しています。今は需要の多いお米や野菜セットなど一部の商品に限定してお届けしています。お届け先は半径3km圏内なので、注文が入ってすぐに届ければ再配達になることはほぼありません。現在、お客様には60分以内のお届けをお約束していますが、実際は20分程度で配送が完了しています。もし、受注した時に品切れしていたとしても、半径3km圏内ですから在庫を置いている倉庫も近く、すぐ取りに戻れる。お客様からも「もう届けてくれたの?」と驚かれることが多いですね。

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     この事業を始めたきっかけは何ですか?

    小野 弊社代表の中川は、大牟田市で自動車商社や、自動車のリース、緊急対応のレッカーなど自動車業全般に長く携わってきました。そんな中、ここ数年はラストワンマイルドライバーにかかる負荷を非常に懸念していたんです。数年前から、ニュースなどでも再配達の問題が取り上げられていますが、指定した時間に不在でも消費者がペナルティを受けるわけではないから全然なくなりません。コロナでますます通販の需要が増え、現場はもう限界が来ています。そういった配送現場の状況をどうにかするべく、当社を実験的に立ち上げたんです。

     “動く倉庫”にたどり着いた経緯を教えてください。

    小野 昔は、大きな倉庫から小売店などへの物流だったのが、今は個人宅まで届けるようになりました。また現在、ラストワンマイルドライバーは、個人で仕事を請け負う“ギグワーカー”が激増しています。そのため、それぞれの積載量もまちまちだし、同じルートを何台も走っていたりして無駄が増えています。だったら、街を走っているトラックみんなが倉庫の機能を果して、配送ルートも最適化していけば、もっと早く届けられるようになるし、物流業界の問題も軽くなり、環境にもいいのではと考えたんです。

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    メーカーの新たな販路に。集客から販売、配達までを一貫して担う

     どんな会社にこのサービスを利用していただきたいと考えていますか?

    小野 商品はあるけれど、販売する場所と倉庫を持っていないメーカーです。小売店に商品を置いてもらえなければ販売する場所がないため、値下げの要望があれば対応せざるを得ません。そもそもお店がないエリアでは、販売自体できないのです。ECサイトという手もありますが、送料が発生するため買う側のハードルが上がってしまいます。しかし、弊社のサービスを利用してメーカーが直接販売すれば、小売店までの流通や商品を置いてもらう経費が不要になり、価格も自由に設定できるようになります。集客も弊社が行うので、メーカーは広告費としてサービス利用料を私たちに支払うだけ。ただし小売店と違ってあくまで倉庫なので委託になり、余れば返品になりますが、AIを使って高い精度で需要予測を立てられますし、小売店で販売するよりも安い経費でご利用いただけます。

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     消費者側にはどんなメリットがありますか?

    小野 欲しいものが、送料無料ですぐ届くことですね。例えば、ECサイトや買い物代行を利用すると、送料や利用料が高かったりします。しかし弊社の場合は、倉庫そのものが動いて自宅までお届けするシステムに対して、メーカーが使用料を払っているので、消費者が送料を負担する必要はありません。実際利用された方からは「今はコロナの影響で買い物に行きづらいから助かる」「待たなくていいからうれしい」といった声もいただいています。

     今は食品を取り扱っていますが、食品を運ぶためのシステムではないのですね。

    小野 そうです。あくまでも私たちがご提供しているのは配送プラットフォーム。ニーズがあれば、食品以外も配送できるので、さまざまな業種の会社にご利用いただきたいですね。また、「メーカー直販」と言うと、小売店の競合に聞こえるかもしれませんが、決してそんなことはありません。お店から半径3km圏内に配達できるサービスとして小売店にもご活用いただければ、新しい価値を生み出せるはず。小売店にもメリットがあるサービスを一緒に考えていけたらうれしいです。

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     現在の課題は何でしょうか?

    小野 AIを使った需要予測を、より正確に立てられるようにすることです。現在は博多区と、コロナ支援として福岡市内にも配送していますが、予測がきっちりできるようになったら、その実例をもって他地域にも横展開していく予定です。住んでいる人が変わればニーズも変わるので、そのエリアごとに必要とされる商品を正確に分析できれば、きっと大きな結果が出ると確信しています。

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    ユニコーン企業を目指して。動き続けながらビジョンを形にしていく

     今後の展望について教えてください。

    小野 福岡から時価総額1000億円を超える、ユニコーン企業を目指します。これから先、そう遠くない未来に自動運転車が実現します。一方で少子高齢化が進む日本では、配送のニーズは増え続けるけれど、配送する人は減ることが予想されます。しかし、私たちのサービスなら、将来的には無人の自動運転車で商品を自宅まで届けることができるようになるはずです。無人配送でなくても、高齢のスタッフが自動運転の車に同乗して受け渡しをすればいい。若い働き手が減っても、必要なものを必要な方に最短でお届けできるシステムになると考えています。私たちが目指すのは、将来自動運転の実装によって訪れる社会の変革に合った配送サービス。壮大な夢のようですが、決して不可能ではないと考えています。

     これから起業を考えている方に向けてメッセージをお願いします。

    小野 やりたいことを大体決めたら、次は行動をした方がいいと思います。考えてばかりいるとやるべきことが薄まっていくので、動き続けるしかありません。私は、今のチームで構想をまとめて伝える役割を担っています。全然うまく話せない上に、まだビジョンがぼんやりしていた創業初期から、とにかくピッチに出続けています。ベンチャーは「動いて、話してなんぼ」です。やりたいことを伝え続けているうちに、形になって来ることを私も実感しています。皆さんもぜひ、考えるだけではなく積極的に行動に移すことを大切にして欲しいと思います。

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    kumashiroyuko

    ライター

    神代 裕子

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