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INTERVIEW

「見たら絶対欲しくなる」日本のモノの"魅力"を全力で引き出すプロを直撃してみた

ニューワールド株式会社
代表取締役社長 井手 康博

    美しい有田焼や波佐見焼。そんな日本の伝統工芸品を取り巻く現状を皆さんはご存知でしょうか。少子高齢化に伴う後継者不足、海外製品の台頭やライフスタイルの変化による生産高の減少など、日本のものづくり業界は現在、危機に貧しています。そんな伝統工芸品を始めとした「日本ブランドを世界No.1にする」というビジョンを掲げるのが、ニューワールド株式会社です。日本のものづくりに特化したECサイト「CRAFT STORE」の運営や、ものづくり企業のクラウドファンディングを支援するBtoB事業を展開しています。そんなニューワールド株式会社の代表取締役社長・井手 康博さんに、起業の経緯やサービスに対する想い、今後を見据えたサービスの展望について伺いました。

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    目指したのは「人」にフォーカスした“共感型の消費体験”

     まず、現在の事業内容について教えていただけますか。

    井手 僕たちは大きく分けて、3つの事業を展開しています。1つ目が「CRAFT STORE」という日本のものづくりに特化したEコマース事業です。日本のものづくりを担う職人さん達が作ったモノに限定してセレクトしており、現在76ブランド700点ほどの商品を掲載しています。2019年からスタートしたオンライン陶器市「CRAFT陶器市」も好評で、8産地35窯元1,100点もの陶器が集まり、これまで20万人もの方々が訪れています。2つ目は、BtoBのマーケティング事業です。現在、株式会社マクアケさんと資本業務提携を結び、「サンプルまでなら作れるけど資金がない」といった悩みを持つ職人さんに向けて、クラウドファンディングの企画制作支援などを行っています。こちらは今まで67プロジェクト以上を手掛けており、累計調達金額は3億円を突破するなど、日本のものづくり企業におけるクラウドファンディングの相性は抜群だと言えます。3つ目が、自社で生み出したブランドをCRAFT STOREで販売するといったブランド事業を展開しています。

     そういったサービスの強みについて教えていただけますか?

    井手 僕たちの強みは「商品の裏側にある背景やストーリーを伝えるコンテンツ力」です。CRAFT STOREでは、丁寧な文章や構図にこだわった写真、クオリティの高い動画などを使用して、とにかく「人」にフォーカスした、リッチなコンテンツを提供することを意識しています。多くの商品で溢れ返ったEコマース市場の中で、ユーザーに伝わりやすいコンテンツを付加することで生まれる「共感型の消費体験」にフィーチャーしたストアを運営している所が特徴です。加えて、全国130を超える職人さん達とのリアルなネットワークを持っていることも強みの1つです。

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    それぞれの商品やマーケットに「最適化」したビジネスを

     「CRAFT STORE」を立ち上げた背景について教えていただけますか。

    井手 元々、僕たちはファッション系の動画コマース事業を行っていました。ですがピボットをするタイミングで、買い物と動画コンテンツを掛け合わせたフォトジェニック消費のような体験によって「売れにくいもの」を「売れるもの」にする、というストーリーが浮かびました。そこから、売れにくい商品を調べて産地の方々にヒアリングをしていった結果、一番期待の声を下さったのが伝統工芸品の職人さん達でした。

     伝統工芸品が「売れにくい」という背景にはどのような課題があり、どういったアプローチをされてきたのか教えていただけますか。

    井手 伝統工芸品には「売れる」ポテンシャルがあるのに、従来のEコマースにおいては環境が最適化されておらず「売れにくい」状態になっていることが課題でした。Amazonや楽天だと、どうしても安いものに目が移ってしまうので、沢山ある商品の中では中々その良さが目立たなかったんです。そこで、実際にものづくりをしている最中の職人さんの顔写真や、サイズ感や色味を意識した照明の当て方・構図などを工夫した撮影を行うことで商品の魅力を引き出して、「伝統工芸品に最適化」されたサイトづくりを行いました。そうすることでお買い物をする人にとっても、CRAFT STOREにくれば日本のいいモノと出会えると思ってもらえるような環境を作っています。

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    >>「CRAFT STORE」公式ホームページ<<

     今後のサービスの注力ポイントと展望について教えていただけますか。

    井手 注力したいポイントは日本ブランドを生み出すこと、グローバルに流通させていくことの2点です。そのためにまずは足元の課題に対し、何かしらソリューションとなるような提案をしていきたいと考えています。最近では、新型コロナウイルスの影響を受け、キャッシュフローに悩む全ての作り手をサポートするためにファクタリング事業「CRAFT即払い」をスタートさせました。また海外展開についても、現地に合わせてローカライズされた日本ブランドを作っていく座組を整えることと、グローバルを見据えた価格戦略を採ることを強く意識しています。

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    必要なのはチャンスを掴むまで「耐え忍ぶ力」

     なぜ、起業しようと思ったのか教えてください。

    井手 元々、僕の父方の親族がほとんど経営者だったこともあり、そもそも自分が就職をするというイメージが全く湧かなかったんです。高校生になる頃にはもう明確に「会社を作りたい」「人と違うことがしたい」ということを言っていた記憶があります。それから経営者である父親に「人と違うことをしたいんだったら、人と違う場所にいきなさい」と言われ、進学先も京都の外国語大学を選んだり、中国に留学したりと「人と違う経験をする」ということを意識的にやっていました。そして、22歳で海外留学から帰国すると、約半年間の準備期間を経て23歳で「ニューワールド株式会社」を創業しました。

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     福岡で起業し、東京へ本拠点を移し、再び福岡に拠点を構えるという変遷を経ていると思いますが、それぞれの拠点の経営におけるメリットについて教えていただけますか。

    井手 まず東京で言うとやっぱり「スピード感」ですよね。僕たちは東京をBtoBの拠点として構えているんですが、東京の方が資金調達や採用などのスピード感が圧倒的に速い上に、全体のボリュームも大きいので、経営においては非常にメリットが大きいです。逆に福岡で言うと、東京に比べて固定費を抑えることができるため、経営としては「守りを固める」という動きができます。福岡はEC事業の拠点なのですが、カスタマーサポートやコンテンツ制作の人員などが必要で、コストが膨張しがちなんですね今後は僕たちとしても「結果を出しに行く」「拡大していく」というフェーズになるので、固定費を抑えつつ、サービスのグロースもさせられる福岡に拠点を置くことを、非常にメリットに感じてます。

     起業家として、井手さんはどんなマインドを大切にしていますか。

    井手 「死なないこと」だと思います(笑)結局、生存能力の高い起業家であればあるほど、何かしらチャンスが巡ってきた時にその機会を掴み得る確率が上がりますよね。なので、昨今のような新型コロナウイルスの影響下でも、耐え抜く地力を持てる経営ができているかという部分が非常に重要になってくると思います。「ここを耐え凌げば美談になる」くらいのワクワクした気持ちで、その後のチャンスに向けてどんな仕込みができるかという「攻め」の動きと、地道に生き残るという「守り」の動きのバランス感を大切に経営していくということは常に意識をしていますね。

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    あえて「やらざるを得ない」状況を創り出す

     井手さんから見た「就職」ではなく「起業」をすることの魅力について教えてください。

    井手 全てを経験できるので、成長スピードが格段に早くなるいう点です。僕も起業する前には「まずは就職して何年か経験した上で起業をした方が良い」ということを、周りから少なからず言われていました。ですが何も知らずに起業をして、経営者として同時多発的な判断や行動をしていかざるを得なかったからこそ、がむしゃらに動くことができたと思います。起業から1年経った時に、自分の同年代の仕事内容を聞くと、そのほとんどがすでに経験していることでしたし、僕自身の引き出しも確実に増えている実感がありました。

     これから起業しようとされている方にメッセージをお願いします。

    井手 もう「起業しよう」じゃないですか(笑)結局、動かなくても良い選択肢がある人や、お金の心配をしている人は、起業しなくて良いんじゃないかと思うんですよね。本気で起業したいって想いがあるんだったら、きっと動かないと気持ち悪いと感じるんじゃないですかね。また、僕は「起業」について「会社を起こすこと」じゃなくて、「事業を起こすこと」だと考えています。何かやりたい事業があるのであれば、資料だけじゃなくてまず最低限、誰もがイメージしやすい形を持ったプロダクトやサービスを、完璧じゃなくてもいいので作るべきだと思います。だから、もし優先順位として起業することが第一に来ているんだったら、すぐ行動しようっていうのと、まずはそのプロダクトを作ろうって伝えたいですね。

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    Avatar kishi4

    ライター

    岸垣 光祐

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