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株式会社リクリエ

代表取締役 中西 孝行

非対面型の宿泊システムを活用し、遊休資産を生かした地方創生に取り組む「リクリエ」の挑戦

新型コロナウイルスの感染拡大により、「新しい生活様式」がニュースタンダードになった現在。停滞してしまった経済を活性化させるために、様々な業界で3密を避ける取り組みが求められています。本社のある福岡市を中心に約50施設のホテルを運営する株式会社リクリエは、チェックインシステム「Tabiq(タビック)」を活用し、非対面型の”おもてなし”を展開している会社です。代表取締役の中西孝行さんに、無人化ホテル「GRAND BASE(グランドベース)」や遊休資産を使った地方創生などについてお話を伺いました。

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遊休資産の利活用をベースに、新たな価値観を創出する

 起業した背景にはどのような想いや社会的な課題があったのでしょうか?

中西 私の父の実家が大分県の耶馬渓で農業をしていました。日本の原風景が広がる素敵な場所で、秋の収穫時期には活気に溢れていて、幼少期はその様子が大好きでした。しかし年々、栄華を極めていた時期からは想像もできないほどに過疎化が進んでいて。どうにかしてこの状況を食い止めたいと思い、リクリエの前進となる会社を立ち上げ、地方の遊休資産を通信会社の基地局として活用する事業を展開しました。その後、一般の方にも地方に足を運んでいただけるようなサービスにしたいという目標を掲げ、宿泊を切り口とした地方創生を行うために株式会社リクリエをスタートしました。

 遊休施設で地域創生を実現するために、どのような事業をスタートされたのでしょうか?

中西 リクリエでは「限りある資産を再生し、新たな価値を創出する」という企業理念を掲げ、西日本を中心に、無人ホテルの企画・運営、自社チェックインシステム「Tabiq」の開発を行っています。無人ホテル「GRAND BASE」は、区画整理で残ってしまった土地や狭小地、駐車場としてしか活用できていないスペースにホテルを建てることで遊休資産の利活用に取り組んでいます。チェックインサービスの「Tabiq」は、無人化ホテルを実現するために欠かせないサービスです。今まで当たり前だったことに新しい価値を与えて、再生させるためのサービスを展開しています。「GRAND BASE」は2016年の会社設立以降、全国約50施設を超え、現在も新なエリアを含め拡大中です。

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非対面型チェックインシステムを生かした、無人化ホテルが作るコロナ禍のニューノーマル

 無人化ホテル「GRAND BASE」やチェックインシステム「Tabiq」を始めて感じた手応えはありますか?

中西 チェックインシステムを開発し、ホテルを無人化したことで、今までの日本のおもてなし文化とは異なる新たな価値観を創出できたと思っています。私たちの考える最高のおもてなしは、“誰からも干渉されずにストレスフリーに過ごせる無人の空間”をご提供することです。今回新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「Tabiq」の訴求キーワードを“無人化”から“非対面”に転換して以降、近隣の宿泊施設からの反響も増えました。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、人に会わずにステイできるというサービスは、今後ホテルを選ぶ判断軸としてニューノーマルになっていくのではないかと感じています。

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 どのような意図を持って事業を展開されたのでしょうか?

中西 ホテル業界は、既存のビジネスモデルから大きな変化を強いられることなく、続いてきたビジネスだと思います。そこに私たちのようなITを得意とするスタートアップ企業が参入し、今まで当たり前だったことを、当たり前じゃないと発信し続けてきたことで、業界自体が少しずつ変わりつつあります。私たちは競合という考えを持っていません。業界問わずお互いに協力しあって、市場を拡大し共存していこうというマインドでサービスを展開しています。現在は、福岡にある他のスタートアップ企業とも協力しあって、「どうしたらユーザーに喜んでもらえるか、どうしたらいいサービスを届けられるのか」という想いのもと、連携しながら新たな事業の展開を進めています。

 コロナ禍でサービスや事業にも変化が生じましたか?

中西 このコロナ禍で「Tabiq」「GRAND BASE」ともに、ニーズの高まりを感じています。今までは無人化ホテルにバリューを感じていなかった方々も感染予防の観点から、非対応型サービスのニーズを感じていただけるようになりました。今までホテルに宿泊をするのは、旅のついでという方が多かったと思いますが、最近ではホテルに滞在すること自体を楽しむ方が増えてきました。また宿泊という用途だけではなく、ワーケーションとしての利用や近隣に住む方々のコミュニケーションの場としての活用も増えています。ホテルはステイだけではないということ、ホームじゃなくてもステイができる場所があることに気づいていただけたことで、今後につながるマーケットの広がりを感じています。

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ベンチャーならではのスピード感で、九州の価値を高める企業へ

 今後の事業展開について教えてください。

中西 既存のサービスでバリューをつけながら新たなサービスも展開して、その流れで3年後にIPOを目指しています。2年後にはチェックインシステムを通じて、すべてを一括管理できるようなサービスを展開したいと思案中です。例えば、ホテルにチェックインしたあと、近くでアクティビティを楽しんだり、食事をしたりするときに、そのエリアの行動すべてをスマホで完結できれば、より便利でスムーズな旅が実現できます。未来に向けた“オンラインでのおもてなし”を展開してきたいと考えています。

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 スタートアップ企業としてのやりがいや魅力はどんな部分にありますか?

中西 私たちは、何もないところから何かを生み出す事業をしています。新たなに領域チャレンジすることも、新たなサービスを展開することもすべて自由なので、そこにスタートアップ企業ならではの楽しさを感じています。今はホテル事業を行って、省人化ということにも取り組んでいますし、コロナで変わるマーケットを先読みして、すでに次のサービスが動いている状況です。こういったスピード感もスタートアップだからこそのメリットだと思います。また、常にアンテナを張って、手応えを感じたら次のことに目を向けるようにしています。新しいサービスも自分たちのアイディア次第で実現できるので、その魅力は大きいですね。

 最後に、中西さんの考える地方から挑戦することの意義について教えてください。

中西 私は起業当初から、ホテル業界の激戦区である東京・大阪・京都を商圏から外して考えていますが、福岡を地方だとは思っていません。福岡は3大都市に比べマーケットは狭いですが、その分動きやすくトップシェアを狙いやすい環境だと考えています。また私は事業をする上で、人がすべてを作っていくと思っています。現在リクリエに在籍しているメンバーのほとんどが東京からのUターンです。彼らは、地方創生をして地域に寄与したいという地元愛と強い独立心を持っています。リクリエを巣立ったメンバーが新なビジネスをスタートすることで、九州が主要都市に負けないエリアになっていくのではないかと思っています。リクリエを起点に、彼らの成長が「持続可能なサイクル」を作り出していくことに繋がると嬉しいですね。

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ライター / ユウミ ハイフィールド