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SMILE SCORE株式会社

代表取締役 樋口 健介

誰もが1日1日を大切に生きられる社会に。感情を可視化するコミュニケーションツールとは

SMILE SCORE」は、企業の従業員が1日1回、5段階スマイルマークで気持ちを表現して見える化することで、組織の信頼関係を高める「感情コミュニケーションツール」です。従業員が離職する時、その理由を、建前では「家庭の事情」と言っていても本音は「人間関係の悩み」「仕事のストレス」であることが多いという調査結果があるようです。そんなネガティブ離職をゼロにすべく生まれたこのサービスについて、事業を始めたきっかけやサービスの特徴など、代表取締役の樋口 健介さんにお話を伺いました。

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実体験から生まれた感情コミュニケーションツール

 はじめに、サービス開発の経緯をお聞かせください。

樋口 僕は起業する前、複数の人材系の会社に勤務していたことがありました。そこで感じていたのは、企業と求職者のマッチングの難しさです。企業側が出す条件に沿って人材を紹介してもその人に合うとは限らず、辞めてしまったり、場合によっては心が傷ついてしまったり。それから国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得したのですが、勉強すればするほど、人の気持ちに寄り添ってキャリアを、そして人生を考えていくことが大事だとつくづく感じました。人と企業が信頼関係を築き、双方がハッピーになる好循環を増やすことができれば、世の中がもっと良くなっていくのではないかと考えたのです。

 樋口さんの実体験が、SMILE SCORE の誕生につながっていくのですね。

樋口 はい。僕自身も何度か転職を経験しましたが、その理由は前向きなものばかりではなく、悩みがあっても誰にも相談できず苦しんだことがありました。1人で考えていると、そのうち自分で自分の気持ちがわからなくなってくるんですね。そんなふうになるのは僕だけかと思っていましたが、キャリアコンサルタントとしていろいろな人に話を聞いていると、そういう人は意外とたくさんいることがわかりました。だからこそ、企業と人の信頼関係を高めるには、人が「自分の感情に気付き、表現する」機会をつくることが重要なのではないかと考えたのです。たとえネガティブな気持ちであっても可視化することで、自身の状況を俯瞰でき、改善する方法が見えてくる。それをサービスで仕組み化できないかと考えたのが、SMILE SCORE 開発のきっかけです。

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誰もが働くことを人生の一部として楽しめる未来に

 ほかのHRテックと異なる特徴はどのようなところにあるのでしょうか。

樋口 精神状態を機器で測定したりチーム全体の状況を分析したりするのではなく、個人が自分の気持ちを自分で表現し、そこから対話が発生するというコミュニケーションツールである点です。例えば、サービス上で従業員の方が「今日は落ち込んでいる」と気持ちを表現すると、そのままメンターがチャットで相談に乗れるような仕組みになっています。また、いいことがあった時にはハッピーな気分を投稿者の任意で全社にシェアできる機能もあり、あまり交流がなかった社員同士が「昨日はよかったですね!」など声をかけ合うきっかけになっているようです。これは特に若手の方々の反応が良いそうで、社員間の絆が深まった、転勤でバラバラになってもつながり続けるきっかけになっているといった反響をいただきました。当社ではこのサービスを「感情コミュニケーションツール」と定義し、商標登録もしています。

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 「1日1回」というのもポイントだと思いますが、そこにこだわる理由は何かありますか。

樋口 はい。人に何か嫌なことがあったとき、まずその瞬間の情動として「嫌だな」と捉えられ、時間が経つとそれが感情として深く意味付けされます。さらに数週間経つとその人のデフォルトの気分として定着してしまうそうです。そしてそれが組織全体にも波及する悪循環になる。そうならないためには個人面談を毎日する方法もありますが、現実的ではないですよね。でも従業員の「今日の気分」を把握し、必要であれば声をかけることは大切です。だからこそ、SMILE SCOREでは1日1回にこだわっているのです。

 サービスの今後の展開についてお聞かせください。

樋口 オプションサービス「社外メンター」を最近スタートしました。というのも、SMILE SCOREを導入していただいた企業から「社員がネガティブな感情を表した時にどうしたらいいかわからない」といった相談を受けたんですね。従業員に毎日投稿してもらう以上はそのフォローまでがワンセットであるべきですが、それができる人がいない企業があるとわかりました。その解決策として、当社キャリアコンサルタントが社外メンターとして経営陣・人事・従業員の方々をサポートする仕組みです。社外メンターは信頼しているスマイルスコアのキャリアコンサルタントが担当するほか、今後はソリューションを持っている企業とのアライアンスによって、誰もが働くことを大切な人生の一部として楽しめる社会づくりに貢献したいと思っています。

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1日1日を大切に生きて、チャレンジすることが大事

 SMILE SCORE 立ち上げから今までを振り返って、どんなことを感じていらっしゃいますか?

樋口 最近の起業家の中には、若くて経歴も素晴らしい方がたくさんいますが、僕自身は決して輝かしい経歴を持っているわけではなく、普通の人です。でもだからこそ、気付けることもあります。例えばSMILE SCORE は、気持ちのコントロールが難しかったり、人間の弱さを感じたりしたから生まれたツールです。僕は今42歳ですが、年月は本当にあっという間に過ぎていくと、この歳になって感じています。当社のミッションとして「1日1日そして一瞬を大切に生きる」と掲げているのですが、それを積み重ねることで後悔なく一生を終えられるのではないかと思います。昔と違って今の時代は長生きできますし、チャレンジのチャンスも増えている。だから、うまくいかなくても自分を責めたり諦めたりせず、本当にやりたいことだったらやってみたらいいと思います。

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 チャレンジするからこそ、得られる喜びもありますよね。

樋口 はい。僕たちは「こうしたらきっと社会に貢献できるはず」という、立ち上げ当初は、いわば自分がやりたいサービスを作ったわけですが、それに対して何かしら反応をいただいたり、役に立ったと言っていただけたりすると本当に嬉しかったことを覚えています。「プロダクトアウトよりもマーケットイン」とよく言われますが、それにこだわりすぎず、自分たちが信じているサービスを、粘り強く生み出していくことも大切だと感じています。

 では最後に、スタートアップで働く魅力について教えてください。

樋口 メンバーやお客様との距離が近いことでしょうか。当社では、お客様からいただいたいろいろなご意見をもとに、サービスをどう改善していくかを定期的に話し合っています。大学生のスタッフもいるのですが、忌憚なく意見を言ってくれますよ。年齢問わずみんなでブラッシュアップするのは大事なことですし、とても楽しい。また、例えば大手企業だと、お客様から意見をいただいて改善案を企画しても、すぐにサービスを変えることは難しいですよね。僕たちはスタートアップだからこそ、その意見がいいなと思ったらすぐに取り入れることができますし、実現できないことだとしても納得いただけるように説明できる。ダイレクトに、正直に、本当のことを自分の言葉でお客さまに伝えられるのは、スタートアップで働く魅力のひとつだと思います。

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ライター / 北村 朱里